いまさらながらP2HDの利用 [トラブル]
久しぶりの更新である。それだけ掲載するトラブルがなかったというか、ソフトウエアを更新しないままきたからか。。。
AvidMC7.0を使い続けてもうかなりの時が経った。AvidDVからだと15年を越える。世はまさに4KHDRの時代。Avidもv.8.5が出ている。
さて、「いまさら」だが、納品先の環境の都合で、P2HDギアを1台導入した。それもDVCPROHD画質で、P2カードにファイルを書き込め、なおかつモニターでプレビューチェックができればよいので、P2カードレコーダー&プレーヤー「AJ-HPG10」の中古品を購入した。
P2カードレコーダー&プレーヤー「AJ-HPG10」(2007年発売)
FireWireのDVCPROHD入出力、USB&1394のPCコネクションなどが装備され、FireWire録画、P2カードの読み出しはもちろん、データの書き込みも行える。HD-SDI出力もついている。(読み込みだけならノートPCのPCカードスロットで行えるが、PCでは書き込みができなかった)
まぁ10年前の機材だから、発売当時の10分の1以下の金額で調達することができたのだが・・・。
話は変わるが、先日初めて4K番組の仕事をした。HDダウンサイズでの放送だが、編集が4K、HDR対応だったので、局内の編集室のPremiereProCCを使用した。私の周りの知る範囲での感想だが、4Kの編集環境にはPremiereProCCを導入している局やポスプロが多いようだ。今回はエディターが操作しているので私自身はオペレートしなかったのだが、Avidを導入する前、初めてのノンリニアがPremiereだったこともあって、もう20年近く前に触ったものを再び触れるだろうかと、自身のPCに体験版をダウンロードして使ってみた。
感覚はなかなか取り戻せないのだが、いろいろな機能が進化しており、中でも今回のP2HDのことも気になってワークフローをチェックしてみると、P2カードへファイルの書き出しができるようだ。ほかにもいろいろなメディアとの連携ができるようである。
一方、AvidMC7.0でP2HDを扱うには少々不便なところがあることがわかった。
まず、「ディバイスにエクスポート」 の中にあるP2ディバイスへエクスポートを実行すると、次のような不具合が出る。
1.映像音声は書き出されるが、タイムコード情報が出力されない。 (トラックのTCボタンをON/OFFしてもダメだった)
2.エクスポートのダイアログで、マークを使用、アクティブトラックを使用、を設定しても、シークエンス全体を書き出してしまう。
特に「1」のタイムコードが出力されない件は、生放送の送出時に役立たない。マニュアルでデジタルカットはできるが、生放送の送出用に、シークエンスを正確に1秒前から録画することができず、これでは瞬時に頭だしができないので、テープメディアと同じで、P2カード本来の特長を生かせない。XDCAM-OP1aMXFへのエクスポートでは正確にタイムコードも書き出せたので、このバグは非常に残念だ。
「2」の不具合はAvid社のHPに(バグ番号: UDevC00171495 として掲載されている。「アクティブトラックを使用(Use Enabled Tracks)」オプションを有効にしたとしても P2 デバイスへのエクスポートではシークエンスから全てのトラックをエクスポートしていました。 これは、Avid 編集アプリケーション 6.0.3 / 10.0.3 パッチで修正されたました。と記述があったが、7.0.6ではまた同じ不具合があるようだ。 (この件に関してはAvidサポートに問い合わせ中)
P2エクスポートに関して、これ以外にもAvid社が認定したバグだけでもかなりある。
・バグ番号: UDevC00172409 P2 デバイスにエクスポートするとメディアデータが壊れてしまったかもしれません。
・バグ番号: UDevC00174889 P2 デバイスにエクスポートするとき、Access violation エラーが 表示されたかもしれません。
・バグ番号: UDevC00174889 P2 デバイスにエクスポートするとき、Access violation エラーが表示されたかもしれません。
・バグ番号: UDevC00182828 デバイスが正しく接続されていても、P2 デバイスにエクスポートは、"connect a P2 device(P2デバイスを接続してください)" というエラーを表示しました。
そこで何かよい方法はないかと探ったところ、Panasonicが無償配布しているAvid用のAMAプラグインに注目したのだが・・・。
このソフトウエアでは、、読み込みはDVからAVCIntra200まで無償でOKなのだが、P2カードへの書き出しは有償のオプション(AJ-PS002G)となる。 このオプションには30日間の無償試用があり、これを使って試してみると、シークエンスのタイムコードをちゃんと書き出せた。
P2 Plug-In Manager のシリアル番号入力画面
話はそれるが、AJ-HPG10へ直接書き出しをしていると、ディバイス側で警告が鳴り、ストップエラーが発生したり、PCがブルースクリーンになったことがあった。そこで、一旦別のハードディスクに書き出し、後にP2カードへコピーをする方法を試みた。ハードディスク内に書き出したフォルダ構造を調べてみると、CONTENTフォルダ内のフォルダ数がDVCPROHDのものよりひとつ多いことがわかった。AJ-HPG10はAVCIntraに非対応なので、この辺りに潜む非整合性が原因だったのではないかと考えている。これはP2プラグインのオプションを使っても、Avidのディバイスへのエクスポートを使っても同じ結果だった。
P2データのコピーは、同じフォルダ内のファイルをハードディスクからP2カードへストレージディバイスとしてWindowsでコピーをしたもので、タイムコード情報も正確にコピーできておりP2デッキで正常に再生できた。
(MC7.0.6×P2Plug-in v3.1を使用) PanasonicのHPには、v4.4-v4.5もMC7.0.4対応とあるが、うまく動作しなかったため、v3.1を使ってみた。さらにロールバックしてv2.6も試してみる価値はありそうだ。
↓P2カードへの書き出し有償オプション(AJ-PS002G)のワークフローガイド
さて、ここで先ほどのPremiereProと比べてしまうわけである。もし、PremiereProCCのP2書き出しがソフトウエア標準でタイムコードも書き出せて、完全に動作すれば、ソフトとしてはPremiereの勝ち?ということになるだろうか。
この10数年Avid以外の編集ソフトを触ってこなかったが、各局がPremiereやエディウスにシフトしているのがなんとなくうなずける。
しかし、簡単な編集ならほかのソフトでもできるかもしれないが、完パケ作業となると、いまさら新しいソフトに移行して覚える時間もない。。。 まだ旧製品のユーザーは多いのです。頑張れ!Avidテクノロジー!!
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追加情報
Avidサポートからご回答をいただき、正式なバグとして修正依頼をしていただいたとのことで、MC 8.5.2の修正で対応が予定されているそうです。ちなみにXDCAMでも同様のバグ報告があるそうで、なかなか難しいテクノロジーなのかもしれません。
Avidプラグイン Moving Picture 64bit化の不思議 [トラブル]
Avid Media Composer ソフトウエアライセンスの解除ができない! [トラブル]
いつものことだが、ソフトウエアをアップグレードすると、旧バージョンのアンインストールから始まり、インストール後の細かい設定、使用方法など、なにかとトラブルやバグは付き物である。
← HP 8710WとAvid Media Composer 5.5.2
前回お話ししたように、Avid Media Composer 5.5.2 にアップグレードしたものの、ソフトウエアライセンスの解除ができないという状態に陥った。さて、その原因と解決方法であるが・・・
★ドングル方式に代わる、オンラインライセンス認証
ご存知のようにAvid Media Composer ソフトウエアは、Ver3.0からドングル方式に代わり、インターネットによるライセンス認証方式になった。
MC5.5.2立ち上げ時に出るライセンス認証画面
認証されると「License Type :Node Locked」と表示される
★アップグレードパッケージが届いてからの作業履歴
1.再インストール
最初に、30日無償版のトライアルライセンスで使っていたバージョンが5.5.1だったので、届いた新しいバージョン5.5.2を入れ直すことにした。Avid関連すべてのソフトウエアのアンインストールと、関連するフォルダを一切消去し、クリーンインストールをした。
※マシンはHPのモバイルワークステーション8710wとXW8600。ともにWindows XP Pro SP3で、最初に作業したのは8710w。
2.日本語化作業
MCのインストール後、日本語化を行った。日本語化ファイルは、プログラムDVDのユーティリティフォルダに付属するか、Avidのサイトなどからもダウンロードできる。
方法は、Xpress Pro 5.5時代から変わらず。
C:> Program Files > Avid > Avid Media Composer > SupportingFiles > International フォルダに、日本語化ファイルの、Japanese.tdf ファイルの名前を default.tdf に書き換えたもの、と avid_ja.qm ファイルを入れる。
通常はこれで日本語表示になるのだが、Windows XPでMedia Composer 5.5を実行する際、これだけでは一部のメニューが日本語化されず、英語のままとなる。
Windows XP上でMCを実行する時、すべてを日本語表示にするには別に決まりごとがある。これはサポートwebページに掲載されている。
その内容は以下のとおり。(サポートページより抜粋)
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Windows XPでMediaComposer5.5を日本語表示させるには下記の設定を行う必要があります。
MediaComposerを終了している状態で
C:\program Files\Avid\Avid MediaComposer\SupportingFiles\International\xml フォルダ内にある、
「MCStrings_ja_JA.xml」を「override.xml」に名前変更する必要があります。
こちらはXP版使用時の制限事項になります。
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「MCStrings_ja_JA.xml」を「override.xml」に名前変更
これを実行すると、すべてのメニューが日本語化される。
← 2段目左側のファイルを変更する
上記のとおりの作業をして、ソフトウエアを立ち上げ、ライセンス認証を行うと無事認証ができた。今度はこのライセンスをXW8600ワークステーションに持ってゆくために、このマシンの認証を解除しなければいけないのだが・・・!
★ソフトウエアライセンスを無効にできない!
ソフトウエアライセンスの解除は、MCの実行中、「スペシャル」メニューのドロップダウンの際下段にある。表示すると日本語で「ソフトウエアライセンスを無効にする」となっている。(英語表記では「Deacuteivate Software License」)
これを実行すると、本来はインストールガイド169ページにある写真のように、ライセンス情報をコンピューターに保存するか否かのダイアログボックスが出るはずなのだが、そのようなものは出ず、解除の注意を促す文面に「続行」と「キャンセル」のボタンしかない。
本来出る解除画面
インストールガイドとは違う画面が現れた
続行を押すと、表面上はディアクティベーション(ライセンス認証解除)が行われたようで、次回立ち上げの時は、ライセンス認証画面が出る。ライセンスが解除されていなければ、ネットが繋がっていない状態でも、認証画面は出ず、直接ソフトウエアが立ち上がるはずなので、認証画面が出るということは解除されているはず、と思ったのだが、実は、PCのローカル側では解除されているが、Avidのサーバー側では解除されていないことがわかった。
別のマシンで(XW8600)でこのシリアル番号を入力すると、「Your Avid Media Composer is Already registerd」(あなたのアビッドメディアコンポーザーはすでに登録済みです)と表記され、「認証に失敗しました」と出る。
★解除時のインターネット通信状況を調査
もう一度前回のマシンをアクティベートしてから、認証解除作業を行ってみた。この時、イーサネットのパケット通信量を計ってみたのだが、解除作業をしてもパケット通信量の変化がない。どうやらPCから認証サーバーへ通信が行われていないようだ。
MC5.5には、レンダリング終了を携帯端末などにEメールで知らせてくれる機能がある。この機能は正常に動いているため、PC自体のイーサネットには不具合はないと思われ、MCのソフトウエア上の何かの不具合と判断した。
★ソフトやOSなどの再インストールとアクティベーション解除の重要性
ソフトの不具合となると、再インストール、ということになるのだが、MC5.5のようにオンラインアクティベーションシステムを採用している場合は、ちょっと注意が必要だ。
というのは、Avid ライセンスサーバーはコンピューターのイーサネットの端末にあるネットワーク インタ-フェース カード(NICという)のIDを読んで、シリアル番号と照合して認証しているため、この構成を変更したり、ドライバーの無効化、また、ソフトやOSを再インストールによってNICのIDが変更されたら、Avidライセンスサーバーは、まったく別のコンピューターと理解するため、そのマシンからは二度と認証解除できない。解除できないということは、再インストールしても認証できないということだ。そのため、ソフトウエアなどを再インストールする時は、事前にアクティベーション解除を行う必要がある。
ところが、今回はアクティベーション解除ができないため、どうすることもできない。こういう時は、サポートセンターに依頼して、アビッドに連絡を取ってもらい、IDとシリアル番号(個人情報)を伝えて、Avidテクノロジーにサーバー側でライセンス認証を解除してもらうことになる。
★ソフトウエアの再インストールと不具合の原因究明
私の場合は連絡からわずか2時間程度で解除完了の連絡が来た。さて、これで再インストールができる。もちろんすべての関連プログラム、フォルダを削除してクリーンインストールを行った。
インストール後、日本語化やカスタマイズを一切行わず、認証・解除ができるか実験して見る。英語表記のままだが、認証OK。解除はインストールガイドにあるライセンス情報を残すか否かのダイアログが出た。
← ライセンス情報を残すか否かのダイアログ
解除するとイーサネットはパケット通信をして解除完了!
その後、別のマシンでも認証・解除ができた。(別マシンも同じくソフトウエアのクリーンインストールをして実験)
★原因は何か?
さて、それでは不具合の原因は何なのか?順を追ってひとつづつ先ほどの状態に近づけてゆき、それぞれの場合で認証実験をしてみる。
1.日本語化ファイルの挿入。
default.tdf と avid_ja.qmのみを入れて再起動。これは一部のメニュー表記が英語のままになる。(Windows XPのみ)
→ 認証・解除、マシン移動後も同じくOK。
この時、スペシャルメニューのダイアログは
「Deacuteivate Software License」と、
英語表記のまま。
2.次にWindows XPのみの制約の日本語化を実行。
C:\program Files\Avid\Avid MediaComposer\SupportingFiles\International\xml フォルダ内にある、
「MCStrings_ja_JA.xml」を「override.xml」に名前変更する。
MCを立ち上げると、メニューはすべて日本語表記になったが、「スペシャルメニュー」の「ソフトウエアライセンスを無効にする」を押すと、ライセンス情報を残すか否か、のボックスは出ず、不具合状態の時にでたメッセージダイアログのままとなり、認証できても解除ができない状態になった。
★ライセンス解除ができない原因は、Xmlファイルの書き換え!
ということで、このXmlファイルの書き換えを元に戻し、解除を行うと正常に解除できる。2台目のマシンで同じことをやったが、結果は先ほどと同じであった。このことから、完全日本語化のXmlファイルの書き換えを行わず、一部英語表記のまま使用することにした。
おそらく、日本語化した場合、ライセンス解除プログラムの実行ルーチンが、どこかで切断されているのだろう。ダイアログが正常に出ないのもバグだと思うが、イーサネット通信を行う指示も出されていないと想像できる。今後修正バージョンが出るのを期待したい。
今回は、サポートセンターが手早くライセンス解除を依頼してくださったこともあって、修正・原因調査期間は1日と、意外に早く原因を特定できた。
これで迫りくる仕事にも対応できる。しかし新しいソフトウエアに慣れるまでは、また何か不具合が出ることは想定しておかねばならないだろう。
追記:
2011年7月7日付けで、Avid社がこのバグを確認し、サポート情報に掲載されました。
Data:
Avid Media Composer 5.5.2
HP 8710W Windows XP Professonal SP3
HP XW8600CT Windows XP Professonal SP3
ハードウェアはなし
モバイルワークステーションによる出張編集(2) [トラブル]
そんなわけで翌日に本番を控えて、今更編集システムを大阪から持ってくるわけにもゆかず、どうしたものかと思案した末、とにかく調べられることはすべてやってみようということになった。
まず、Firewireディバイス(1394バス)が正常に認識されてるか、ディバイスマネージャーで確認したが特にエラーは出ていない。
次にFirewireディバイスの速度が基準の400Mbpsになっているかを調べた。以前、マイクロソフトが「Windows XP Service Pack 2 のインストール後、1394(Firewire)デバイスのパフォーマンスが低下することがある」という対策に修正パッチ(KB885222)を発表していたのを探し当てていた。ただこの症状はWindows XP Service Pack 2にアップグレードした場合に速度がS100(100Mbps)に書き換えられることがあると書いてあった。当のHP8710wは最初からWindows XP Service Pack 2が搭載されているため、この症状には当てはまらないのではないかと疑問を抱きつつも、とにかく時間がないので試してみることにした。(KB885222はこのリンクからダウンロード可能)
早速レジストリを開いて確認したが、マイクロソフトサポートに書いてあった「sidspeed」という項目がない。ないということはおそらくFirewireの速度はデフォルトでS400が与えられているであろうと思いつつも、マイクロソフトの修正パッチをインストールしてみた。
この結果レジストリにはsidspeedという項目が出来て、(2)という値が設定された。(2)はS400だ。
さて、この状態でキャプチャを試みたが結果は同じであった。2つのFirewireポートを入れ替えてもダメ。アビッドテクノロジーサポートセンターでもPCカードインターフェースをS800やeSATAに変更してもディバイス自体の問題なのでダメだろうという見解であった。
ここで考え付いたのがHDDのFirewire接続をやめ、USB2.0(480Mbps)で接続してみることだ。
実は以前、大手ポスプロでHDCAMの素材を編集した時、テープと編集データ(シークエンスデータ)ではなく、メディアごとHDDで持ち込んだ。この時、USB2.0で接続しており、デジタルカット中に映像が1度フリーズを起こしたことがあったが作業を完結した経緯がある。
半信半疑でUSB2.0でキャプチャをやってみた。すると33分のDVCPRO HDテープが最後までストップすることなく100Mbpsでデジタイズを完了した。
本来は正当なやり方ではないのだろうが、これで編集作業が出来る。HDCAM(HDW-M2000)もDVCPRO HD(AJ-HD1800)をHD-SDIでスルーして問題なく取り込めた。
実はSDの場合のみVTRをトランスコーダー代わりにスルーして素材を取り込むにはコツがある。他のSDメディア素材をDVCPROやDVCAMなどを通してデジタイズする場合、EE系スルーにすると映像は来るのだが、音声はトランスコーダー代わりにするVTRのテープを回して録画してやらなければ出来なかった。(これはAvid Xpress Pro ver5.5以上の特徴でAvid社も公開している)HDメディアではダビングをしなくても良いということが今回発見できたのは良かった。しかし本来、EE系スルーが出来るというのが正常な状態なのだろうと思うが実際のところはどうなのだろう。
今回、このトラブルで時間のロスがあったが、何とかなるもである。外部HDDはFirewire接続が大前提だという思い込みがひとつの罠だったのかもしれない。
************ DATA **************
- PC: HP Compaq 8710w インテル® Core™2 Duo プロセッサ T7700 メモリ:4GB
- OS: Microsoft Windows XP Professonal SP2
- Editor: Avid Xpress Pro ver5.7.2
- HDD: LACIE d2 Quadra HDD 2TB
- VTR: HDW-M2000 (SONY) AJ-HD1800 (PANASONIC)
- VTRコントロール RS232C-RS422 9Pリモート
モバイルワークステーションによる出張編集(1) [トラブル]
毎年福岡で行われているチャリティーゴルフ大会があり、今年で25回目を迎えた。この番組は地元のプロダクションが引き受け、弊社が制作協力を行っている。私は第2回からこの仕事に参加させていたただいており、毎年収録した素材を大阪へ持ち帰り、編集~MA完パケまで行ってきたが、今年はいろいろと事情が異なり、私が九州へ出向き、地元のプロダクションで作業をすることになった。
一昨年までSDで制作されていたこの番組は、今年初めてのフルHD制作である。(昨年は放送がなかった) このプロダクションではDVCPRO HDとHDCAMを運用しているが、納品局の環境からDVCPRO HDでの納品がほとんどであるため、作業環境も DVCPRO HD+ファイナルカットプロHD(以下FC)という組み合わせが標準となっている。SDの作業にはAvid MediaComposer Adrenalin(以下MC)を使っておられるのだが、HDに移行してからはFCに移行したためAvidMCのHD化を行わなかったということだ。
さて、そこでAvid派の私としてはどうしてもAvidで作業したい。しかしそんな私のためにHDボードの追加など、高額な投資をお願いするわけにはゆかず、弊社のモバイルワークステーションHP8710Wを持ち込んでデジタイズ~仮編集までオンライン仕様で行うことにした。
HP8710Wモバイルワークステーション
この番組の作業には毎回2名のディレクターが2チェーンの編集室に分かれて仮編集を行う。ゴルフ番組は素材の量が多く、またナレーション収録をお願いする解説の方のスケジュールや放送日から逆算すると、効率化を図らねば作業は間に合わなくなる。もちろん相方はファイナルカットで、最終の本編集をファイナルカットで行う。今回のような複合型作業行程は私としても初の経験となった。
さて、撮影はDVCPRO HDのENGが3台、HDCAMが4台、中継車がHDCAMという構成。
収録されたテープは30分テープが50本弱。中継は120分が1本半というところだ。中継に関しては収録中にリアルタイムでデジタイズすることも頭にはあったのだが、準備のための日程や経費など、諸々の事情で今回はあきらめることにした。
これらのテープをすべてデジタイズするのだが、ブロック別に2チェーンに分けてデジタイズすればおおかた15時間の作業といったところだ。使用環境はラシーのHDD2TBを2台用意。Avidのデジタイズではモバイルを持ち込んでいるのでMojoDXなどのハードウェアを通さず、FirewireによるDVCPRO HD 100Mbpsでデジタイズすることにした。
本番前に動作テストをしたわけだが、ここで大きな問題にぶつかった。HP8710WノートブックでもHDCAMの素材をDNxHD145(Mbps)で作業したりしている。当然何の問題もなく動くはずだと信じていたのだが・・・
AvidテクノロジーではFirewireの取り扱いには、VTRやハードウエアとHDDの接続にデジチェーン接続を用いずにそれぞれ別のポートを使用することを推奨している。また一般的にビデオ編集用のHDD接続にはFirewire(400Mbps以上)がふさわしいという。この理由は何かで読んだことがあるが忘れてしまった。
Firewireポートを1つしか持たないモバイルワークステーションHP8710Wであるが、そんなわけで増設用のPCカードにAvid推奨のPYRO1394Port API-601を購入し(現在は販売していない)、接続先をHDDにして使ってきた。とはいうものの、これまでDVやHDVなどの25Mbpsで問題なく使ってきたのだが、今回のようにDVCPRO HD 100Mbpsで使うのは初めてであった。
悩まされたのはキャプチャ中にバッファアンダーランエラーで止まってしまうというトラブルだ。このエラーはメモリや転送速度など、PCの能力に限界が来た時に多く起こる。
すぐさまアビッドテクノロジーに問い合わせたが、モバイルノート機のPCカードポート自体が100Mbpsキャプチャをサポートしていないのではないか(転送速度が追いつかない)という結論であった。
サポートセンターの勧めでテストとして書き込み先のドライブを内蔵のCに変えてみると、エラーが出るまでの時間が先ほどよりは幾分延びた。Cドライブは起動ドライブなので基本的にキャプチャ先にはできないが、この実験でドライブへの転送速度が問題なのだと確信した。う~ん、ではどうしたものか。。。
実はこれが意外にも簡単なことで解決したのだった。