Avid Media Composer ソフトウエアライセンスの解除ができない! [トラブル]
いつものことだが、ソフトウエアをアップグレードすると、旧バージョンのアンインストールから始まり、インストール後の細かい設定、使用方法など、なにかとトラブルやバグは付き物である。
← HP 8710WとAvid Media Composer 5.5.2
前回お話ししたように、Avid Media Composer 5.5.2 にアップグレードしたものの、ソフトウエアライセンスの解除ができないという状態に陥った。さて、その原因と解決方法であるが・・・
★ドングル方式に代わる、オンラインライセンス認証
ご存知のようにAvid Media Composer ソフトウエアは、Ver3.0からドングル方式に代わり、インターネットによるライセンス認証方式になった。
MC5.5.2立ち上げ時に出るライセンス認証画面
認証されると「License Type :Node Locked」と表示される
★アップグレードパッケージが届いてからの作業履歴
1.再インストール
最初に、30日無償版のトライアルライセンスで使っていたバージョンが5.5.1だったので、届いた新しいバージョン5.5.2を入れ直すことにした。Avid関連すべてのソフトウエアのアンインストールと、関連するフォルダを一切消去し、クリーンインストールをした。
※マシンはHPのモバイルワークステーション8710wとXW8600。ともにWindows XP Pro SP3で、最初に作業したのは8710w。
2.日本語化作業
MCのインストール後、日本語化を行った。日本語化ファイルは、プログラムDVDのユーティリティフォルダに付属するか、Avidのサイトなどからもダウンロードできる。
方法は、Xpress Pro 5.5時代から変わらず。
C:> Program Files > Avid > Avid Media Composer > SupportingFiles > International フォルダに、日本語化ファイルの、Japanese.tdf ファイルの名前を default.tdf に書き換えたもの、と avid_ja.qm ファイルを入れる。
通常はこれで日本語表示になるのだが、Windows XPでMedia Composer 5.5を実行する際、これだけでは一部のメニューが日本語化されず、英語のままとなる。
Windows XP上でMCを実行する時、すべてを日本語表示にするには別に決まりごとがある。これはサポートwebページに掲載されている。
その内容は以下のとおり。(サポートページより抜粋)
******************************
Windows XPでMediaComposer5.5を日本語表示させるには下記の設定を行う必要があります。
MediaComposerを終了している状態で
C:\program Files\Avid\Avid MediaComposer\SupportingFiles\International\xml フォルダ内にある、
「MCStrings_ja_JA.xml」を「override.xml」に名前変更する必要があります。
こちらはXP版使用時の制限事項になります。
********************************
「MCStrings_ja_JA.xml」を「override.xml」に名前変更
これを実行すると、すべてのメニューが日本語化される。
← 2段目左側のファイルを変更する
上記のとおりの作業をして、ソフトウエアを立ち上げ、ライセンス認証を行うと無事認証ができた。今度はこのライセンスをXW8600ワークステーションに持ってゆくために、このマシンの認証を解除しなければいけないのだが・・・!
★ソフトウエアライセンスを無効にできない!
ソフトウエアライセンスの解除は、MCの実行中、「スペシャル」メニューのドロップダウンの際下段にある。表示すると日本語で「ソフトウエアライセンスを無効にする」となっている。(英語表記では「Deacuteivate Software License」)
これを実行すると、本来はインストールガイド169ページにある写真のように、ライセンス情報をコンピューターに保存するか否かのダイアログボックスが出るはずなのだが、そのようなものは出ず、解除の注意を促す文面に「続行」と「キャンセル」のボタンしかない。
本来出る解除画面
インストールガイドとは違う画面が現れた
続行を押すと、表面上はディアクティベーション(ライセンス認証解除)が行われたようで、次回立ち上げの時は、ライセンス認証画面が出る。ライセンスが解除されていなければ、ネットが繋がっていない状態でも、認証画面は出ず、直接ソフトウエアが立ち上がるはずなので、認証画面が出るということは解除されているはず、と思ったのだが、実は、PCのローカル側では解除されているが、Avidのサーバー側では解除されていないことがわかった。
別のマシンで(XW8600)でこのシリアル番号を入力すると、「Your Avid Media Composer is Already registerd」(あなたのアビッドメディアコンポーザーはすでに登録済みです)と表記され、「認証に失敗しました」と出る。
★解除時のインターネット通信状況を調査
もう一度前回のマシンをアクティベートしてから、認証解除作業を行ってみた。この時、イーサネットのパケット通信量を計ってみたのだが、解除作業をしてもパケット通信量の変化がない。どうやらPCから認証サーバーへ通信が行われていないようだ。
MC5.5には、レンダリング終了を携帯端末などにEメールで知らせてくれる機能がある。この機能は正常に動いているため、PC自体のイーサネットには不具合はないと思われ、MCのソフトウエア上の何かの不具合と判断した。
★ソフトやOSなどの再インストールとアクティベーション解除の重要性
ソフトの不具合となると、再インストール、ということになるのだが、MC5.5のようにオンラインアクティベーションシステムを採用している場合は、ちょっと注意が必要だ。
というのは、Avid ライセンスサーバーはコンピューターのイーサネットの端末にあるネットワーク インタ-フェース カード(NICという)のIDを読んで、シリアル番号と照合して認証しているため、この構成を変更したり、ドライバーの無効化、また、ソフトやOSを再インストールによってNICのIDが変更されたら、Avidライセンスサーバーは、まったく別のコンピューターと理解するため、そのマシンからは二度と認証解除できない。解除できないということは、再インストールしても認証できないということだ。そのため、ソフトウエアなどを再インストールする時は、事前にアクティベーション解除を行う必要がある。
ところが、今回はアクティベーション解除ができないため、どうすることもできない。こういう時は、サポートセンターに依頼して、アビッドに連絡を取ってもらい、IDとシリアル番号(個人情報)を伝えて、Avidテクノロジーにサーバー側でライセンス認証を解除してもらうことになる。
★ソフトウエアの再インストールと不具合の原因究明
私の場合は連絡からわずか2時間程度で解除完了の連絡が来た。さて、これで再インストールができる。もちろんすべての関連プログラム、フォルダを削除してクリーンインストールを行った。
インストール後、日本語化やカスタマイズを一切行わず、認証・解除ができるか実験して見る。英語表記のままだが、認証OK。解除はインストールガイドにあるライセンス情報を残すか否かのダイアログが出た。
← ライセンス情報を残すか否かのダイアログ
解除するとイーサネットはパケット通信をして解除完了!
その後、別のマシンでも認証・解除ができた。(別マシンも同じくソフトウエアのクリーンインストールをして実験)
★原因は何か?
さて、それでは不具合の原因は何なのか?順を追ってひとつづつ先ほどの状態に近づけてゆき、それぞれの場合で認証実験をしてみる。
1.日本語化ファイルの挿入。
default.tdf と avid_ja.qmのみを入れて再起動。これは一部のメニュー表記が英語のままになる。(Windows XPのみ)
→ 認証・解除、マシン移動後も同じくOK。
この時、スペシャルメニューのダイアログは
「Deacuteivate Software License」と、
英語表記のまま。
2.次にWindows XPのみの制約の日本語化を実行。
C:\program Files\Avid\Avid MediaComposer\SupportingFiles\International\xml フォルダ内にある、
「MCStrings_ja_JA.xml」を「override.xml」に名前変更する。
MCを立ち上げると、メニューはすべて日本語表記になったが、「スペシャルメニュー」の「ソフトウエアライセンスを無効にする」を押すと、ライセンス情報を残すか否か、のボックスは出ず、不具合状態の時にでたメッセージダイアログのままとなり、認証できても解除ができない状態になった。
★ライセンス解除ができない原因は、Xmlファイルの書き換え!
ということで、このXmlファイルの書き換えを元に戻し、解除を行うと正常に解除できる。2台目のマシンで同じことをやったが、結果は先ほどと同じであった。このことから、完全日本語化のXmlファイルの書き換えを行わず、一部英語表記のまま使用することにした。
おそらく、日本語化した場合、ライセンス解除プログラムの実行ルーチンが、どこかで切断されているのだろう。ダイアログが正常に出ないのもバグだと思うが、イーサネット通信を行う指示も出されていないと想像できる。今後修正バージョンが出るのを期待したい。
今回は、サポートセンターが手早くライセンス解除を依頼してくださったこともあって、修正・原因調査期間は1日と、意外に早く原因を特定できた。
これで迫りくる仕事にも対応できる。しかし新しいソフトウエアに慣れるまでは、また何か不具合が出ることは想定しておかねばならないだろう。
追記:
2011年7月7日付けで、Avid社がこのバグを確認し、サポート情報に掲載されました。
Data:
Avid Media Composer 5.5.2
HP 8710W Windows XP Professonal SP3
HP XW8600CT Windows XP Professonal SP3
ハードウェアはなし
追加情報です。
2011.8.17, Avid Media Composer 5.5.3がリリースされ、上記のバグは修正されました。
by Take3Produce (2011-09-28 11:19)
ググッて、たどり着きました。原因を突き止められたこととてもすごいです。ウチはネット認証が不安なのでドングルライセンスで使い続けています。MC5.5にしてから何となく反応が悪い時があるような気がしますけどどうですかね。やはり32ビットでは限界なのでしょうか。(xw8600です)
by mabby (2011-10-14 13:45)
mabby様
コメントありがとうございます。
チェックが遅くなりすみません。
なんせ先月は東京大阪間の新幹線車内で1本編集したほどのばたばたさでした 。
ということで、弊社は、最初は不安だったネット認証も、サクサクとトラブルもなくモバイルと使い分けております。
うちもXW860032bitですが、複雑なシークエンスや2時間ものなどは以前より自動保存時など反応が鈍ってきたように思います。
そろそろ64の導入を考えています。
DNxHDキャプチャもハードが安くなった分、W7でなければ動作しなくなっているのも要因です。メーカーの販売戦略にはまりそうですね。。。
by Take3Produce (2011-11-04 23:44)